Raspberry Pi はじめての初期セットアップ(2022/04/04版)

Raspberry Pi

「Debian 12:bookworm」に対応した「はじめての初期セットアップ」ページを公開していますので、ご参照ください。

はじめに

 本記事では、購入したRaspberry Piの基本的なセットアップ方法について記載いたします。IoTや電子制御などに興味を持たれ、Raspberry Piを購入しては見たものの、何から手をつければ良いか分からず、困っている方も多いのではないでしょうか。
 パソコンを使用するためには、Windowsなどのオペレーティングシステム(OS)が必要になることはご存じと思います。同じようにRaspberry Piを動作させるためには、Raspberry Pi OSなどのOSが必要になります。Raspberry Piでは、OSがインストールされたmicroSDカードをパソコン等を使用して事前に作成し、Raspberry Piに取り付けることにより使用できるようになります。(このmicroSDカードは、パソコンのHDDやSSDのようなものと考えていただければ良いと思います。)その他、画面を表示するディスプレイ、入力するためのキーボード、マウスなどが必要になります。
 本記事では、Raspberry Pi OSがインストールされたmicroSDカードを作成し、モニター、キーボード、マウスの代わりにWindows PCのTeraTermなどのターミナルソフトウェアを使用してRaspberry Pi OSの基本的な設定を行う方法について記載いたします。
 その後、Raspberry Pi OSのVNC機能を有効化し、VNC Viewerを使用してGUI環境で設定を行います。
 以下のように、2022年04月04日にリリースされたバージョンからデフォルトユーザー「pi」が削除され、初回起動時にユーザーを作成する仕様に変更されました。

Default “pi” user has been removed; the first-boot wizard enforces the creation of a new user account.(Release noteより)

 この仕様変更にともない、モニター、キーボード、マウスを使用せずRaspberry Pi OSの設定を行うため、「Raspberry Pi Imager」の「Advanced Options」メニューを使用して、「ユーザーの作成」及び「SSHの有効化」を行います。

【注意】
「Advanced Options」メニューを使用してRaspberry Pi OSのインストールを構成した場合、初回起動時に実行される構成ウィザードは実行されなくなります。

【参考】
モニター、キーボード、マウスを使用せずにセットアップを行う方法は、「ヘッドレス・セットアップ」や「ヘッドレス・インストール」と呼ばれています。

環境

  • ボード
    Raspberry Pi 4 Model B
  • OS
    Raspberry Pi OS with desktop
    Release date: September 22nd 2022
    System: 32-bit
    Kernel version: 5.15
    Debian version: 11 (bullseye)

準備するもの

モニター、キーボード、マウスは必要ありません。これらを使用せずに代わりにPCを使用して設定を行います。モニター、キーボード、マウスをお持ちの場合は、設定方法に変わりはありませんので接続して行って下さい。

  • Raspberry Pi 4 Model B
  • AC電源アダプター(5.0V、2.0A程度)
  • microSDカード(16GB以上)
  • SDカードリーダーライター
  • LANケーブル
  • ブロードバンドルータ(DHCPサーバ機能を有するもの)
  • Windows PC(モニター、キーボード、マウスを接続する場合は不要)

Raspberry Pi OSの初期のネットワーク設定は、「自動IPアドレス取得」になっています。このため、IPアドレスの自動割り当てを行うDHCPサーバ機能を有するブロードバンドルータが必要になります。
一般的なブロードバンドルータであれば、DHCPサーバ機能を使用できると思います。

microSDカードの作成

Raspberry Piで使用するmicroSDカードを作成します。

Raspberry Pi Imagerのインストール

 はじめに、microSDカードにRaspberry Pi OSを書き込むために使用する「Raspberry Pi Imager」ソフトウェアのダウンロードを行います。「Raspberry Pi Imager」ソフトウェアは、公式ページからダウンロードすることができます。

URL:https://www.raspberrypi.org/software/

ブラウザを使用して公式ページにアクセスします。ページ下部にある「Download for Windows」ボタンをクリックします。

次に、ダウンロードした「imager_X.X.X.exe」を実行し、「Raspberry Pi Imager」をインストールします。(※アンダーバー以降は、バージョンを表しています。)
以下の画面が表示されますので、「Install」をクリックし開始します。

問題なくインストールが終了すると以下の画面が表示されますので、「Finish」をクリックし終了します。

以下のような警告画面が表示される場合があります。表示された場合は、「詳細情報」をクリックしてください。

次に、画面下部の「実行」をクリックしてください。

microSDカードへの書き込み

SDカードリーダーライターに準備したmicroSDカードを挿入します。
1.「Raspberry Pi Imager」を実行します。
2.以下の画面が表示されますので、書き込みを行うOSを選択します。「OSを選ぶ」をクリックします。

3.以下の画面が表示されますので、「Raspberry Pi OS(32-bit)」をクリックします。

4.書き込みを行うmicroSDカードを選択します。「ストレージを選ぶ」をクリックします。

5.書き込みを行うmicroSDカードをクリックします。

6.Raspberry Piを使用するために必要な「ユーザーの作成」、TeraTermなどのターミナルソフトウェアで接続するために「SSHの有効化」を行います。「ギアマーク」をクリックします。
(※ギアマークは、OSを選択すると表示されます。)

7.以下のように「詳細の設定」画面が表示されますので、「カスタマイズオプション」欄で、「このセッションでのみ有効にする」を選択します。

8.SSHを有効化するため、「SSHを有効化する」項目にチェックマークを付けた後、「パスワード認証を使う」を選択します。
9.ユーザーを作成するため、「ユーザー名とパスワードを設定する」項目にチェックマークを付けた後、「ユーザー名」欄に作成するユーザー名、「パスワード」欄にパスワードを入力します。
 (注)パスワードの再入力欄がないため、間違わないように注意して入力してください。

10.ロケールを設定するため、「ロケール設定をする」項目にチェックマークを付けた後、「タイムゾーン」欄で、「Asia/Tokyo」を選択します。「キーボードレイアウト」欄で、「jp」を選択します。

11.入力した内容を確認した後、「保存」をクリックします。

12.以下の画面が表示されますので、microSDカードへ書き込むため、「書き込む」をクリックします。

13.以下の確認画面が表示されますので、microSDカードに間違いないことを確認し、「はい」をクリックし実行します。

14.以下の画面が表示され、microSDカードへの書き込みが開始されます。書き込みは、Raspberry Pi OSのダウンロードとともに実行されますので、ネットワーク環境に依存しますが、書き込みが完了するまでしばらく時間がかかりますので、気長にお待ちください。

15.書き込みが終了すると、書き込みを行ったイメージの確認が行われますので、今しばらくお待ちください。(確認が必要ない場合は、「確認をやめる」をクリックしてください。)

16.書き込みが完了すると以下の画面が表示されますので、「続ける」をクリックします。

17.以下の画面が表示されますので、右上部の「×」をクリックし、「Raspberry Pi Imager」を終了します。

18.以上でmicroSDカードへの書き込みは終了です。microSDカードを取り外します。

Raspberry Piの起動および接続

起動

Raspberry PiにmicroSDカードを取り付け、ACアダプタを接続して起動します。

1.Raspberry Piに作成したmicroSDカードを取り付けます。
2.ACアダプタが電源に接続されていないことを確認した後、ACアダプタのUSBコネクタをRaspberry Piに接続します。
3.ブロードバンドルータと接続されているLANケーブルをRaspberry PiのLANコネクタに接続します。(無線LANを使用する場合は不要です。)

【注意】
LANケーブルは、ブロードバンドルータからIPアドレスを取得できるように、必ずRaspberry Piの電源を入れる前に接続してください。

4.ACアダプタを電源に接続し、Raspberry Piを起動します。(※Raspberry Piには、電源スイッチはありません。)

接続

IPアドレスの確認

 Raspberry Piに割り当てられたIPアドレスの確認を行います。割り当てられたIPアドレスを確認するには、ご使用のブロードバンドルータの管理画面にアクセスし、DHCP機能によりRaspberry Piに割り当てたIPアドレスを確認してください。
(※DHCP機能により割り当てたIPアドレスを確認する方法については、ご使用のブロードバンドルータの取扱説明書をご参照下さい。)
 Raspberry Piに割り当てたIPアドレスは、MACアドレスで確認することができます。Raspberry PiのMACアドレスは、上位の3バイトが「B8:27:EB」、「DC:A6:32」、「E4:5F:01」のいずれかで始まります。

ターミナルソフトウェアによる接続

 Raspberry PiのIPアドレスが確認できましたので、TeraTermなどのターミナルソフトウェアを使用して、Raspberry Piに接続します。ここでは、TeraTermを使用します。
 TeraTermは、Windows PCで一般的に使用されるTelnetやSSHに対応したターミナルソフトウェアです。
 TeraTermを実行すると、以下の画面が表示されますので、「ホスト」欄に上記で確認したRaspberry PiのIPアドレスを入力し、「サービス」欄で「SSH」を選択し、「TCPポート#」欄に「22」を入力し、「OK」ボタンをクリックします。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: raspberry-pi-teraterm-connect-01.png

次に、以下の画面が表示されますので、作成したユーザ名、パスワードを入力し、「OK」ボタンをクリックします。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: raspberry-pi-teraterm-connect-02.png

問題なく接続されると以下のようなターミナルコンソール画面が表示されます。

Raspberry PiのVNC接続の設定

 本記事では、Raspberry Pi OSのVNC機能を有効化して、PCからRaspberry PiにVNC接続して、モニターを接続した場合と同様にGUI(Graphical User Interface)環境で基本的な設定を行います。

固定IPアドレスの設定

 はじめに、Raspberry Pi OSに固定IPアドレスの設定を行います。Raspberry Pi OSでは、dhcpcdというサービスがネットワークの管理を行っています。
 dhcpcdは、幅広く利用されているDHCPとDHCPv6に対応したDHCPクライアントです。様々機能があり、DHCPサーバからIPアドレスなどのホスト情報を取得し、ネットワークインターフェイスに設定する機能に加えて、固定IPアドレスを設定する機能などもあります。
 このdhcpcdサービスの設定ファイルである「/etc/dhcpcd.conf」ファイルを以下のとおり編集し、固定IPアドレスを割り当てます。ここでは、以下のように設定を行います。
(※ご使用の環境に応じて、適宜、置き換えて設定してください。)

項目設定内容備考
IPアドレス192.168.0.10ブロードバンドルータのLAN側の
IPアドレス
サブネットマスク長24ブロードバンドルータのLAN側の
サブネットマスク長
デフォルトゲートウェイ192.168.0.1ブロードバンドルータの
IPアドレス
DNS192.168.0.1ブロードバンドルータの
IPアドレス



pi@raspberrypi:~ $ sudo vi /etc/dhcpcd.conf

【末尾に追記】
interface eth0 <== eth0は、Raspberry Pi上のLANインターフェイスのデバイス
static ip_address=192.168.0.10/24
static routers=192.168.0.1
static domain_name_servers=192.168.0.1

pi@raspberrypi:~ $

「/etc/dhcpcd.conf」ファイルの編集が終了したら、Raspberry Piを再起動します。

pi@raspberrypi:~ $ sudo reboot

接続確認

 再起動が完了した後、TeraTermを使用して、設定を行った固定IPアドレスで接続できることを確認して下さい。

VNC機能の有効化

 Raspberry Pi OSのVNC機能を「raspi-config」コマンドを使用して有効化します。
1.TeraTermを使用して、Raspberry Piに接続します。
2.以下のように、「raspi-config」コマンドを実行します。

pi@raspberrypi:~ $ sudo raspi-config
pi@raspberrypi:~ $

3.以下の画面が表示されますので、「3 Interface Options」を選択し、「<Select>」を選択します。

4.以下の画面が表示されますので、「I3 VNC」を選択し、「<Select>」を選択します。

5.以下の画面が表示されますので、「<Yes>」を選択し有効化します。

6.以下の画面が表示されますので、「<Ok>」を選択します。

7.以下の画面が表示されますので、「<Finish>」を選択します。

8.以下の画面が表示されますので、「<Yes>」を選択し再起動します。

解像度の設定

 リモートデスクトップ接続した場合に表示される画面の解像度を「raspi-config」コマンドを使用して変更します。

1.TeraTermを使用して、Raspberry Piに接続します。
2.以下のように、「raspi-config」コマンドを実行します。

pi@raspberrypi:~ $ sudo raspi-config
pi@raspberrypi:~ $

3.以下の画面が表示されますので、「2 Display Options」を選択し、「<Select>」を選択します。

4.以下の画面が表示されますので、「D5 Resolution」を選択し、「<Select>」を選択します。

5.以下の画面が表示されますので、「1024×768」を選択し、「<Select>」を選択します。

6.以下の画面が表示されますので、「<Ok>」を選択します。

7.以下の画面が表示されますので、「<Finish>」を選択し、「raspi-config」コマンドを終了します。

以下の画面が表示されますので、「<Yes>」を選択し再起動します。

以上で、Raspberry Pi側のVNC機能の設定は終了です。

リモートデスクトップ(VNC)接続

 本記事では、PCからVNC接続を行うため、「VNC Viewer」ソフトウェアを使用します。

ソフトウェアのインストール

「VNC Viewer」は、RealVNC社の公式ページからダウンロードすることができますので、ダウンロードし、インストールを行います。

URL:https://www.realvnc.com/en/connect/download/viewer/

VNC接続

「VNC Viewer」を使用して、Raspberry Piと接続します。

1.「VNC Viewer」を実行します。
2.以下の画面が表示されますので、入力欄にRaspberry PiのIPアドレスを入力し「Enter」を押します。

3.以下の画面が表示されますので、「Continue」をクリックします。

4.以下の画面が表示されますので、「Username」欄にユーザー名、「Password」欄にパスワードをそれぞれ入力し、「OK」をクリックします。

5.以下の画面のように、デスクトップ画面が表示されます。

6.以上で接続は完了です。

初期設定

 Raspberry PiにVNC接続ができるようになりましたので、GUI環境で基本的なネットワークインターフェイスの設定、ロケールおよびタイムゾーンの設定を行います。

ネットワークインターフェイスの設定

 ネットワークインターフェイスに固定IPアドレスを設定します。

1.画面右上部の上下矢印のアイコンを右クリックします。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: raspberry-pi-setup-network-01.png

2.「Wireless & Wired Network Settings」をクリックします。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: raspberry-pi-setup-network-02.png

3.ここでは、以下の表のように各欄に入力し、「適用」をクリックします。次に、「閉じる」をクリックします。
(※ご使用の環境に合せて、適宜、入力してください。)

項目設定内容備考
interfaceeth0Raspberry Pi本体の
LANアダプタ
Disable IPv6チェックIPv6は使用しない
IPv4 Address192.168.0.10/24IPv4アドレス/サブネット長
Router192.168.0.1ブロードバンドルータの
IPアドレス
DNS Server192.168.0.1ブロードバンドルータの
IPアドレス



画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: raspberry-pi-setup-network-03.png

4.設定した内容を反映させるために再起動を行います。

【備考】
「固定IPアドレスの設定」で、TeraTermを使用して「/etc/dhcpcd.conf」ファイルを編集し、ネットワークインターフェイスの設定を行いましたが、「適用」ボタンをクリックすると、「/etc/dhcpcd.conf」ファイルが書き換えられますが、設定を反映するには再起動を行う必要があります。

ロケールの設定

 使用する言語や文字セットなどのロケールの設定を行います。

1.画面左上部の「Raspberry」アイコンをクリックし、「設定」→「Raspberry Piの設定」をクリックします。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: raspberry-pi-setup-locale-01.png

2.以下の画面が表示されますので、「ローカライゼーション」タブをクリックし、「ロケールの設定」をクリックします。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: raspberry-pi-setup-locale-02.png

3.以下の画面が表示されますので、以下のとおり入力し、「OK」ボタンをクリックします。

項目設定内容
言語ja (Japanese)
JP
文字セットUTF-8
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: raspberry-pi-setup-locale-03.png

タイムゾーンの設定

 タイムゾーンの設定を行います。

1.以下の画面で、「タイムゾーンの設定」をクリックします。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: raspberry-pi-setup-timezone-01.png

2.以下の画面が表示されますので、以下のとおり入力し、「OK」をクリックします。

項目設定内容
地域Asia
Tokyo
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: raspberry-pi-setup-timezone-02.png

3.以下の画面が表示されますので、「OK」をクリックします。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: raspberry-pi-setup-timezone-03.png

パッケージの更新

 インストールされているパッケージを最新の状態にアップデートします。パッケージのアップデートは、「LXTerminal」などのターミナルソフトウェアを使用して、コマンドで行う必要があります。

1.画面左上部の「Raspberry」アイコンをクリックし、「アクセサリ」→「LXTerminal」を選択します。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: raspberry-pi-setup-update-01.png

2.以下の画面のように「LXTerminal」が起動します。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: raspberry-pi-setup-update-02.png

3.「LXTerminal」で以下のコマンドを実行し、パッケージの最新リストを取得します。

pi@raspberrypi:~ $ sudo apt update
pi@raspberrypi:~ $
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: raspberry-pi-setup-update-03.png

4.以下のコマンドを実行し、パッケージを最新の状態にアップデートします。

pi@raspberrypi:~ $ sudo apt upgrade
pi@raspberrypi:~ $
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: raspberry-pi-setup-update-04.png

以上で終了です。

最後に

 Raspberry Piのデスクトップ環境では設定できる項目が少なく、「LXTerminal」などのターミナルソフトウェアを使用して、コマンドラインで設定することになります。初めは、戸惑うかもしれませんが、是非、コマンドラインで設定する方法に慣れていただければと思います。

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